創業計画書の解体新書 ⑩事業の見通し(月平均)

創業計画書の8つ目の項目は「8 事業の見通し(月平均)」です。
この項目では、創業当初及び1年後(又は軌道に乗った後)の収支の予測を記載します。

事業の見通し(月平均)の書き方

●売上高
売上の予測ほど難しいものはないと思います。
なぜなら、仕入れ、資産の購入、経費などは自分の意志で決めることができますが、
売上についてはお客様の意志に左右されるからです。

過去の実績もないため、「これぐらいの売上が欲しい」と、売上の希望額を記載したくなりますが、相手は金融機関です。なるべく根拠のある売上の予測を記載しましょう。

売上高の計算の基本は、
売上高=商品又はサービスの単価×販売数
になります。

業種・業態などによって、この売上高の計算式は変わります。
飲食店、美容室など不特定多数の一般消費者を対象としている業種では、
次のような計算式で売上高を予測します。

客単価×座席数×稼働率※1×1日あたりの回転数※2×営業日

※1
例えば、4人掛けの席があったとしても、毎回4人が座るわけではないですよね。
売上を保守的に見積もるために一定率(60~80%)を乗じます。
※2
1日当たりの回転数は、次のように計算します。
営業時間×(1時間÷お客の平均滞在時間)×調整率
調整率も、稼働率と同様、売上を保守的に見積もるために使用します。20~30%程度を乗じましょう。

上記計算式以外にも、いくつか計算式を挙げますので、
ご自身の業種に当てはまりそうなものを使用してください。
・従業員1人当たりの売上×従業員数
・単価×市場規模×目標シェア
・面積あたりの売上×面積
・設備の生産能力×設備数×稼働日数

●売上原価(仕入高)
売上原価(仕入高)と経費の違いを理解しましょう。
売上原価(仕入高)とは、売上をあげるために直接的にかかるコストです。
飲食店であれば材料代、小売店であれば商品の仕入代、建設業であれば外注費などが挙げられます。

売上原価を売上高で割ったものを、「原価率」といいます。
業種によって、原価率の平均値があります。
あなたの原価率と業種平均値が同じである必要はありませんが、かけ離れている場合には、仕入代や外注費などを見直してみましょう。

日本政策金融公庫のホームページに「小企業の経営指標調査」があります。
業種別ごとに各指標が載っていますので、参考にしてください。
https://www.jfc.go.jp/n/findings/sme_findings2.html#tyousa

●経費
経費は、売上原価(仕入高)以外の費用になります。
例えば、家賃、人件費、支払利息、水道光熱費、通信費、交通費、消耗品費、
保険料、交際費、広告宣伝費などです。

●1年後の収支予測について
創業当初は、赤字でも仕方がない面があります。
なぜなら、創業当初は、軌道に乗せるためのコストが多く発生することや、予定通りに売上をあげることができない場合があるからです。
そのことについては、金融機関も当然認識しています。

しかし、2年目以降はそういうわけにはいきません。
金融機関は、あなたに貸したお金を利益の中から返済してもらう必要があります。
2年目以降も赤字になる収支予測では金融機関はお金を貸してくれないでしょう。
そうならないためにも、1年後の収支予測は、利益の出せる事業であることを示すように作成しましょう。


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